「ジム行ってるから大丈夫」
「運動はよくしてる」
って、わりとよく聞きませんか?
たしかに
ジムに行くのは良いことです。
筋トレも有酸素も
体力、筋肉、血糖管理、メンタル面まで
いろいろメリットがあります。
そこは否定しません。
でも僕は
「ジムに行ってるから
日中ずっと座ってても大丈夫」
とは思っていません。
ここは別で見た方がいいです。
週3回ジムに行っている。
でも仕事中はずっと座っている。
移動はエレベーター。
帰宅後はソファ。
食後もそのまま座る。
この場合
「運動している人」ではあるんですけど
同時に
「座っている時間が長い人」でもあります。
ここをごちゃまぜにすると
体重が動かない理由や
食後血糖の乱れを見落としやすいです。
僕としては
このテーマはけっこう大事だと思っています。
運動を足す前に
日中の座りっぱなしで
どれくらい損しているかを
見た方がいい人が
普通にいるからです。
この記事では
ジムや運動をしている人でも
座りっぱなしを別で見た方がいい理由を
整理します。
今回はこの順番で見ます。
- 運動している人と座りっぱなしは別で見る
- 座りっぱなしで食後血糖が荒れやすい理由
- NEATが落ちると体重管理で損しやすい理由
- 座位を切るなら何をすればいいか
- 膝痛や糖尿病治療中の注意点
ジムに行けている人ほど
「自分はちゃんと動いている」
と思いやすいです。
でも
日中の小さい動きが消えているなら
そこは一度見た方がいいです。
運動していることと
座っている時間が長いことは
別です
まずここを分けたいです。
「運動不足」と
「座りっぱなし」は
似ているようで
同じ話ではありません。
運動不足は
ジム、筋トレ、ランニング、スポーツなどの
計画的な運動が少ない状態です。
一方で座りっぱなしは
起きている時間の中で
座る、横になる、ほとんど筋肉を使わない時間が
長い状態です。
つまり
ジムに行っていても
日中ずっと座っていれば
「運動はしているけど、座位時間も長い人」
になります。
この状態は
英語では
Active Couch Potato
と呼ばれることがあります。
直訳すると
「活動的なソファ人間」
みたいな感じです。
少し変な言葉ですが
意味はわかりやすいです。
ジムでは動く。
でもそれ以外はずっと座る。
こういう人のことです。
僕はこの言葉
けっこう刺さると思っています。
ジムに行ってる人ほど
「自分は運動してるから大丈夫」
と思いやすいんですよね。
でも
1日の大半を座って過ごしているなら
そこは別問題として見た方がいいです。
運動をしているか。
座っている時間が長いか。
日中の細かい活動量があるか。
この3つは
分けて考えます。
座りっぱなしだと
食後の処理が重くなりやすい
座りっぱなしで
まず見たいのは食後です。
食事をすると
血糖が上がります。
その血糖を処理するために
インスリンが働きます。
インスリンは
血糖を細胞に取り込ませる方向に働く
ホルモンです。
ここで大事なのが
筋肉です。
食後の糖の処理には
筋肉がかなり関わります。
歩く。
立つ。
脚を動かす。
階段を使う。
こういう小さい筋肉の収縮でも
食後の糖を使う方向に働きます。
逆に
食後にずっと座っていると
脚の筋肉をほとんど使いません。
すると
食後の血糖やインスリンの反応が
荒れやすくなることがあります。
過体重・肥満成人を対象にした研究では
座りっぱなしと比べて
20分ごとに2分の軽い歩行
または中等度の歩行を入れた方が
食後血糖とインスリンが下がっています。
人数は19人なので
これだけで何でも断言する研究ではありません。
ただ
「食後にずっと座るより
短く歩いて中断する方が
食後の処理には良さそう」
という方向は見えます。
つまり簡単に言うと
食後に座りっぱなしで固まるより
短くても脚を動かした方が
血糖の処理には助けになる可能性がある
ということです。
ここで大事なのは
ハードな運動じゃなくてもいい点です。
ジムで追い込む話ではありません。
食後に2分歩く。
トイレに行く。
水を取りに行く。
廊下を往復する。
このくらいの小さい中断でも
意味が出る可能性があります。
糖だけでなく
中性脂肪にも関わることがあります
座りっぱなしの話は
血糖だけではありません。
食後は
血糖だけでなく
血中の中性脂肪も動きます。
中性脂肪は
食事に含まれる脂質や
体のエネルギー処理と関係する血液中の脂質です。
2型糖尿病の人を対象にした研究では
7時間座り続ける条件と比べて
30分ごとに3分の軽い歩行
または簡単な自重運動を入れた条件で
血糖、インスリン、Cペプチドが下がっています。
Cペプチドは
インスリンがどれくらい分泌されたかを見るときに
参考になる指標です。
さらに
自重運動の条件では
中性脂肪の反応も低下しています。
ただし
この研究も参加者は24人で
短時間の実験です。
長期的に
体重やHbA1cがどこまで変わるかまでは
この研究だけでは言えません。
でも
「座りっぱなしを短く切るだけでも
食後の代謝反応は変わりうる」
という材料にはなります。
日常で考えるなら
これはけっこう使いやすいです。
食後に眠い。
だるい。
そのまま座って動かない。
また次の食事まで座る。
こういう流れが続いている人は
運動量を増やす前に
食後の座りっぱなしを切るだけでも
見る価値があります。
座っている時間が長いと
NEATも落ちます
ダイエット目線で見るなら
NEATも大事です。
NEATは
Non-Exercise Activity Thermogenesisの略です。
簡単に言うと
筋トレやランニングのような運動以外で使う
日常活動のエネルギーです。
たとえば
歩く。
立つ。
家事をする。
階段を使う。
姿勢を保つ。
ちょこちょこ動く。
こういうものがNEATです。
ジムで1時間動いても
それ以外の時間ずっと座っていると
1日全体の消費は思ったほど伸びないことがあります。
たとえば
ジムで300kcal使ったとしても
そのあと疲れて
家でずっと座る。
階段を避ける。
買い物も減る。
立つ時間も減る。
こうなると
ジムで増やした分の一部が
日常活動の低下で消えます。
これが
「運動してるのに痩せない」
の中でよく起きる帳尻です。
だから
運動量だけを見て
「ちゃんとやってるのに痩せない」
と考える前に
座っている時間とNEATを見た方がいいです。
特に
デスクワークの人はここが大きいです。
朝から座る。
昼も座る。
食後も座る。
移動も少ない。
夜だけジムに行く。
これだと
ジムの1時間だけで
残りの座位時間を全部帳消しにするのは
けっこう大変です。
ジムは大事です。
でも
日中の座りっぱなしを切ることも
別で見た方がいいです。
「たくさん運動すれば相殺できる」は
一応ある。でも現実は別です
座っている時間が長くても
運動量がかなり多い人では
死亡リスクの上昇が弱まる可能性があります。
100万人以上のデータをまとめたメタ解析では
中強度の身体活動を
1日60〜75分くらい行う水準で
長い座位時間に伴う死亡リスクの上昇が
かなり弱まる可能性が示されています。
これは大事な研究です。
ただし
日常で使うときは
ここを少し冷静に見たいです。
1日60〜75分の中強度活動を
毎日続けられる人は
多くありません。
しかも
テレビ視聴のような座位では
相殺されにくい傾向も報告されています。
なので
「座ってても、あとで運動すれば全部OK」
と読むのは少し危ないです。
僕としては
日常での使い方はシンプルです。
運動は続ける。
そのうえで座位も切る。
これが一番現実的です。
ジムに行く日も
行かない日も
座りっぱなしをこまめに切る。
この方が
無理に運動時間を増やすより
続けやすい人は多いと思います。
まずは20〜30分に1回、2分だけ動く
では
何をすればいいのか。
まずは
20〜30分に1回
2分だけ動く。
ここからでいいです。
いきなり
毎日1時間運動しよう
ではなくていいです。
座っている時間を
細かく切ります。
たとえば
こんな感じです。
- トイレに行く
- 水を取りに行く
- 廊下を往復する
- その場で足踏みする
- かかと上げをする
- 立って電話する
- コピーやゴミ捨てをまとめず小分けにする
地味です。
でも
座りっぱなし対策は
こういう地味な行動の方が
続きやすいです。
食後なら
2〜5分だけ歩くのもありです。
血糖目的なら
食後すぐに強い運動をする必要はありません。
軽く歩く。
立つ。
脚を動かす。
まずはこのくらいでいいです。
食後の運動タイミングについて
もう少し細かく知りたい人はこちらにまとめています👇
歩けない日は、椅子立ち上がりでもいい
毎回歩けるとは限りません。
雨の日もある。
仕事中で外に出られない日もある。
人目が気になる場所もある。
そういうときは
椅子立ち上がりでもいいです。
椅子から立つ。
座る。
また立つ。
これを無理のない範囲で
1分くらいやる。
それだけでも
脚の大きな筋肉を使います。
2型糖尿病者を対象にした研究でも
軽い歩行だけでなく
ハーフスクワット、カーフレイズ
膝上げなどの簡単な自重運動で
食後の血糖やインスリン反応が改善しています。
なので
歩く場所がないから終わり
ではありません。
その場で立つ。
かかとを上げる。
椅子から立つ。
足踏みする。
このくらいでも
座りっぱなしを切る意味はあります。
ただし
膝痛や腰痛がある人は
いきなり回数を増やさないでください。
痛みが強い人は
椅子立ち上がりより
その場足踏みや
かかと上げからの方が合うこともあります。
痛みが出るなら
無理に続ける必要はありません。
目的は
根性で回数をこなすことではなく
座りっぱなしを安全に切ることです。
糖尿病治療中の人は、低血糖にも注意する
ここは大事です。
糖尿病で治療中の人
特にインスリンや一部の血糖を下げる薬を使っている人は
食後の運動で低血糖に注意が必要です。
食後に軽く動くこと自体は
血糖管理に役立つ場合があります。
でも
薬の種類や量
食事量
運動タイミングによっては
血糖が下がりすぎることがあります。
なので
糖尿病治療中の人は
この記事だけを見て
勝手に運動量を増やすより
主治医や医療者に確認してください。
特に
低血糖を起こしたことがある人
インスリンを使っている人
スルホニル尿素薬などを使っている人は
慎重に見た方がいいです。
ダイエット目的の人と
治療中の人では
同じ「食後に動く」でも
注意点が変わります。
ここは混ぜない方がいいです。
よくある誤解
ジムに行っていれば、座りっぱなしは気にしなくていい?
そうは言い切れません。
ジムに行くことは良いです。
でも
日中ずっと座っているなら
座位時間は別で見た方がいいです。
運動しているかと
座っている時間が長いかは
同じものではありません。
食後にすぐ動くと消化に悪くないですか?
強い運動なら
消化不良や気持ち悪さにつながることがあります。
でも
軽い散歩や立つ程度なら
血糖面ではメリットが出ることがあります。
食後すぐの全力運動と
食後の軽い歩行は
分けて考えた方がいいです。
2分歩くだけで痩せますか?
2分歩くだけで
体脂肪がどんどん落ちる
という話ではありません。
ここでの主な狙いは
座りっぱなしを切ること
食後の血糖やインスリン反応を少し助けること
NEATを落としすぎないことです。
体脂肪を落とす主役は
やっぱり食事設計と全体のエネルギー収支です。
ただ
日中ずっと座っている人にとっては
小さい中断の積み重ねが
体重管理の邪魔を減らす材料になります。
貧乏ゆすりでも意味ありますか?
座りっぱなしで完全に脚が止まるよりは
脚を動かす方が良い方向に働く可能性はあります。
ただ
貧乏ゆすりだけで十分
という話にはしません。
できるなら
立つ、歩く、かかと上げをする
椅子立ち上がりをする。
その方が行動としては使いやすいです。
まとめ
ジムに行っていることは
良いことです。
でも
ジムに行っているから
座りっぱなしを気にしなくていい
という話ではありません。
運動しているか。
座っている時間が長いか。
日中のNEATがあるか。
食後に少しでも動いているか。
ここは分けて見た方がいいです。
座りっぱなしが続くと
食後血糖やインスリンの反応が
荒れやすくなることがあります。
また
日常活動が落ちることで
ジムで使った分の一部が
他の時間で消えることもあります。
だから
「もっと運動しなきゃ」
の前に
まず座っている時間を切る。
20〜30分に1回
2分だけ歩く。
歩けない日は
かかと上げや椅子立ち上がりをする。
食後は
軽く立つ、歩く。
このくらいからでいいです。
大きな運動を足す前に
日中の小さい動きを戻す。
ジムに行ってるのに痩せない人は
ここを一度見てみてください。
次に読むなら
ここまで読んで
「座りっぱなしが関係するのは分かった。
でも自分が痩せない理由は
食事なのか、NEATなのか、睡眠なのか
順番に見たい」
と思った人はこちらにまとめています👇
この設計書では
体重の見方、食事設計、NEAT
停滞したときの確認順まで
まとめて見直せるようにしています。
ジムに行っているのに進まない人は
運動量だけを増やす前に
どこで帳尻が消えているかを
先に見た方がいいです。
食後の運動タイミングを
もっと具体的に知りたい人はこちらです👇
迷ったらプロフィールからどうぞ。
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参考文献・参考資料
World Health Organization. WHO guidelines on physical activity and sedentary behaviour. 2020.
公的ガイドライン。成人では座位行動を減らし、可能な範囲で身体活動に置き換えることが推奨されている。何時間以上で必ず危険、という単純な線引きではなく、座位を減らす方向で扱う資料。
Dunstan DW, Kingwell BA, Larsen R, et al. Breaking Up Prolonged Sitting Reduces Postprandial Glucose and Insulin Responses. Diabetes Care. 2012;35(5):976-983.
ランダム化クロスオーバー試験。過体重・肥満成人19人を対象に、座りっぱなし、20分ごとの2分軽歩行、20分ごとの2分中等度歩行を比較。短い歩行中断で食後血糖・インスリン反応が低下。人数は少なく、急性効果の研究なので長期効果は別に見る必要がある。
Dempsey PC, Larsen RN, Sethi P, et al. Benefits for Type 2 Diabetes of Interrupting Prolonged Sitting With Brief Bouts of Light Walking or Simple Resistance Activities. Diabetes Care. 2016;39(6):964-972.
クロスオーバー試験。2型糖尿病の成人24人を対象に、7時間の座位継続、30分ごとの軽い歩行、30分ごとの簡単な自重運動を比較。歩行・自重運動で血糖、インスリン、Cペプチド反応が低下し、自重運動では中性脂肪反応も低下。短期実験であり、長期管理への影響は別に考える必要がある。
Ekelund U, Steene-Johannessen J, Brown WJ, et al. Does physical activity attenuate, or even eliminate, the detrimental association of sitting time with mortality? The Lancet. 2016;388(10051):1302-1310.
大規模メタ解析。100万人以上のデータを用いて、座位時間と死亡リスク、身体活動量の関係を検討。高い身体活動量で長時間座位に伴う死亡リスク上昇が弱まる可能性が示されているが、日常で毎日60〜75分の中強度活動を確保できるかは別問題。
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