「運動してるのに痩せない」
ってしんどいですよね。
ジムに行ってる。
ウォーキングもしてる。
有酸素も入れてる。
それなのに体重が動かない。
こうなると
「もっと運動しないとダメなのかな」
と思いやすいです。
僕も昔はそうでした。
体重が動かないときほど
「やっぱり有酸素だ」と思って
歩く距離を2倍に伸ばしたりしていました。
でも今思い返すと、
ジムで頑張った日ほど
疲れ果てて、家でゆっくり過ごす時間が
増えていたんですよね。
「今日は動いたし大丈夫っしょ」
くらいの気持ちでした(笑)
ジムで増やした分を、
家でしっかり打ち消していたわけです。
もちろん、これは
何も勉強していなかった昔の話です。
でも当時の僕みたいに、
ここでいきなり
運動量を増やすのは
少し早いかなと思っていて。
先に見ておきたいのが
TDEEの中身です。
TDEEは
Total Daily Energy Expenditure の略で、
1日の総消費エネルギーのことですね。
ただ、ここを
「運動で消費したカロリー」
だけで考えると
見落としが出やすいです。
この記事では
TDEEを次の4つに分けて見ていきます。
安静時の消費
食事に伴う消費
運動による消費
運動以外の日常活動
先に結論だけ並べておくと、
運動した分だけ痩せるとは限らない。
運動を増やすと、日常の動きが落ちることがある。
食事に伴う消費はあるが、主役ではない。
「もっと運動」の前に、見る順番がある。
この4つです。
自分の場合の食事、体重、活動量、
停滞時の確認順まで
まとめて見直したい人向けの話は
有料記事にまとめています。
この記事ではまず
消費カロリーを
運動だけで見ないための土台を整理します。
TDEEは「運動の消費」だけじゃない
TDEEは
その日1日で
体が使ったエネルギーの合計です。
ここで見ておきたいのは
TDEEは運動だけじゃない
ってところです。
走った分。
筋トレした分。
ウォーキングした分。
もちろんこれらも入ります。
でも、それだけじゃありません。
寝ていても
呼吸、循環、体温維持、
臓器の働きでエネルギーは使われます。
食べたものを
消化、吸収、代謝するのにも
エネルギーは使われます。
さらに
歩く、立つ、家事をする、
階段を使う、姿勢を保つ。
こういう日常の動きでも
エネルギーは使われています。
だから
「運動で300kcal使ったから
その分きれいに痩せる」
とは限りません。
TDEE全体で見ると
別の場所が下がっていることがあるからです。
では、その中身を
4つに分けて見ていきます。
TDEEの中身は大きく4つで見る
TDEEは
細かく言えばいろいろ分けられますが
まずはこの4つで十分です。
1. REE / RMR|安静時の消費
REE(安静時エネルギー消費)や
RMR(安静時代謝率)と呼ばれるもので、
ざっくり言うと
生きているだけで使うエネルギーです。
呼吸、心臓の動き、体温維持、
脳や内臓の働き。
こういう
生命維持の土台にかかる消費ですね。
多くの人では、
1日の消費のいちばん大きな部分を
ここが占めます。
「今日は運動したかどうか」
とは別に存在している箱です。
※BMRやRMRなどの用語の違いは、
別の記事で1ページに整理しています。
気になる人は最後の導線からどうぞ。
2. TEF / DIT|食事に伴う消費
食べたものを
消化、吸収、代謝するにも
エネルギーはかかります。
これをTEF(食事誘発性熱産生)
またはDITと呼びます。
目安として、
普通の混合した食事なら
摂取カロリーの1割くらいと
言われることが多いです。
栄養素によって差があって、
たんぱく質は比較的高め、
脂質はかなり低めです。
ただ
ここを
「TEFを増やせば痩せる」
みたいに主役扱いするのは
少し違うかなと思います。
理由は後ほど説明します。
3. EAT|意図してやる運動
EATは
Exercise Activity Thermogenesis のことですね。
筋トレ、ランニング、ウォーキング、
スポーツ、ジムでの運動。
いわゆる
「今日は運動した」
と自覚しやすい活動です。
多くの人が
消費カロリーと聞いて
まず思い浮かべるのはここだと思います。
もちろん大事です。
でも
TDEE全体の中では
ここだけを見ても足りません。
4. NEAT|運動以外の日常活動
NEATは
Non-Exercise Activity Thermogenesis のことです。
運動以外の日常の動きですね。
歩く。
立つ。
家事をする。
移動する。
階段を使う。
こういう
運動と呼ばれない活動の合計です。
ここが地味に大事です。
理由は2つあって、
1つは、人による差が大きいこと。
生活や仕事のスタイル次第で、
同じような体格でも
1日あたり数百kcal以上
変わり得ると報告されています。
もう1つは、
本人が気づかないうちに
落ちやすいことです。
ダイエット中に食事を減らす。
有酸素を増やす。
筋トレもする。
その結果、
疲れて座る時間が増える。
階段を避ける。
休日に動かなくなる。
こうなると
運動で増えた消費が
日常活動の低下で
一部相殺されることがあります。
「運動した分だけ痩せる」とは限らない
直感的には
運動した分だけ
体重が落ちそうに見えます。
でも実際は
そんなにきれいな足し算にはなりません。
たとえば
ジムで300kcal使ったとします。
そのあと疲れて
普段なら歩いていた距離を
車やエスカレーターに変える。
帰宅後に
座りっぱなしになる。
運動した安心感で
少し多めに食べる。
こうなると
ジムで増えた消費が
別の場所で削られたり
食事で戻ったりします。
昔の僕の
「今日は動いたし大丈夫っしょ」も、
まさにこれでした。
実際、活動量の多い人ほど
総消費がそのまま増え続けるわけではない、
という報告もあります。
これが
「運動してるのに痩せない」の中身として
わりと多いパターンですね。
運動が無意味という話ではありません。
運動は
筋肉を守るためにも
健康のためにも
価値のある習慣だと思います。
ただ
体重変化だけを見るなら
運動した量だけじゃなくて
そのあと日常活動や食事が
どう変わったかまで見る必要があります。
NEATは小さいけど、積み上がる
NEATは
ひとつひとつは小さいです。
立つ。歩く。階段を使う。家事をする。
1回だけ見れば
たいした差には見えません。
でも
1日中積み上がると
そこそこ差になります。
食べすぎた分に対して
NEATが増えやすい人ほど
脂肪がつきにくかった、
という実験もあります。
※16人の小規模な実験なので、
全員に当てはまると言い切るのは無理です。
ただ「日常の動きの差は無視できない」
という方向の材料にはなります。
だから
「運動しているのに痩せない」
と思ったときに
ジムの時間だけを見ると
原因を見落としやすいです。
ジムでは頑張っている。
でも日中はほとんど座っている。
この場合
運動以外の活動が
思ったより少ないかもしれません。
体重が動かないときは
まず歩数や立ち時間を見た方が
判断しやすいです。
TEFはある。でも主役にしすぎない
さっき後回しにした
TEFの話です。
たんぱく質は
TEFが高めなので
「たんぱく質を増やせば消費が増える」
という話が出ることがあります。
これは方向としては
間違いではありません。
ただ
TEFだけでダイエットを大きく動かす
という見方はしない方がいいです。
たんぱく質を増やす理由は
TEFだけじゃありません。
筋肉を守る。
満腹感を出しやすい。
食事の質を保ちやすい。
このあたりの意味の方が大きいです。
だから
「TEFで痩せる」
というより
たんぱく質を確保した結果
食事全体が安定しやすい。
このくらいで見る方が
現実に近いと思います。
体重が止まったときに見る順番
ここまでがTDEEの中身でした。
最後に、これを実際どう使うかです。
運動しているのに痩せないとき
最初に
「もっと運動しよう」
に行くのは少し早いです。
まず見るなら、この順番ですね。
1. 体重の見方
前日比だけで判断していないか。
体重は
水分、塩分、胃腸の中身、
睡眠、運動後の回復で
普通に動きます。
数日〜7日前後の流れで見る方が
判断しやすいです。
2. 食事で相殺していないか
運動後に
食事が少し増えていないか。
飲み物、間食、外食、
調味料、つまみ食い。
ここで運動分が戻ることはあります。
3. NEATが落ちていないか
歩数。立ち時間。移動量。
座りっぱなしの時間。
有酸素や筋トレを足した結果
日中の動きが減っているなら
総消費は思ったほど伸びません。
4. 睡眠や疲労が崩れていないか
睡眠不足や疲労があると
食欲も活動量も乱れやすいです。
動く気力が落ちる。
甘いものが欲しくなる。
判断がゆるくなる。
こういう形で体重管理に響きます。
5. そのうえで運動量を見る
ここまで見て
まだ余裕があるなら
運動量を考えます。
最初から「もっと走ろう」ではなく
どこで帳尻が変わっているかを
先に見てからですね。
よくある誤解を分けておく
「運動を増やせば、その分だけ痩せる」
そう見えやすいですが
実際は日常活動や食事で
一部相殺されることがあります。
運動を増やしたあとに
NEATが落ちていないかを見たいですね。
「NEATは小さいから気にしなくていい」
小さい動きの合計だからこそ差になります。
歩く、立つ、家事、移動。
こういう活動が落ちると
思ったより消費が下がることがあります。
「TEFを増やせば痩せる」
TEFはあります。
でも主役にしすぎない方がいいです。
たんぱく質を確保する意味は
TEFだけじゃなくて
筋量維持や満腹感にもあります。
「停滞したら、とにかく有酸素を足す」
有酸素が必要な場面もあります。
ただ
疲労やNEAT低下がある人に
さらに有酸素を足すと
別の場所が崩れることがあります。
先に食事、体重の見方、NEATを
確認した方がいいですね。
Q&A
Q. 運動しているのに痩せないのは、運動量が足りないからですか?
それだけでは判断できません。
運動量が足りない場合もありますが
食事で相殺している。
NEATが落ちている。
体重の見方が短すぎる。
ということもあります。
Q. 歩数は見た方がいいですか?
見ておいた方がいいです。
歩数はNEATのすべてじゃないですが
日常活動を見る入口としては
使いやすいんですよね。
特に
運動日と非運動日の歩数、
減量前後の歩数は
見ておくと判断しやすいです。
Q. 筋トレしているのに体重が減りません。意味ないですか?
意味がないとは言えません。
筋トレは
筋肉を守る、体型を作る、
長期の健康に役立つなど
体重以外の意味も大きいです。
ただ
体重を落としたいなら
食事と日常活動も
一緒に見る必要があります。
Q. 有酸素を増やす前に何を見るべきですか?
まずは
体重の平均、食事の記録、
NEAT、睡眠、疲労感ですね。
そこまで見て
まだ余裕があるなら
有酸素を足すか考えます。
まとめ
運動しているのに痩せないとき
最初に見るべきなのは
運動量だけじゃありません。
TDEEの中には
安静時の消費、
食事に伴う消費、
運動による消費、
運動以外の日常活動が入ります。
運動を増やしても
日中の活動量が落ちる。
食事で相殺される。
体重の短期変動を脂肪と読む。
こうなると
思ったほど体重が動かないことがあります。
だから
「もっと運動する」の前に
どの箱が増えて
どの箱が減っているかを見たいです。
特に見落とされやすいのはNEATですね。
ジムで頑張った日ほど
家でゆっくりしていた昔の僕は、
ここを完全に見落としていました。
TDEEを分けて見ると
判断しやすくなるかなと思います。
次に読むなら
体重が止まったとき、
運動以外も含めて
何をどの順で確認するかを
1本にまとめた記事はこちら。
[体重が止まったとき、最初に見る6つの順番]
BMR・RMR・TDEEって
結局何が違うの?を
1ページで整理した辞典はこちら。
[BMR・RMR(REE)・TDEEの違いを1ページで整理する]
そのうえで、
「じゃあ自分は何kcalで、
何をどの順で見直せばいいの?」
まで決めたい人はこちらが近いです。
食事、体重の見方、活動量、
外食や週末の崩れ、
停滞したときの確認順まで
まとめて見直せるようにしています。
[やってるのに痩せない人へ|自分でズレを直せるダイエット設計書]
迷ったらプロフィールからどうぞ。
最後まで読んでくれてありがとうございます。
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参考文献・参考資料
Westerterp KR. Diet induced thermogenesis. Nutr Metab. 2004.(レビュー)
→ TEFの目安(混合食で摂取の1割程度、栄養素で差がある)に使いました。個人や食事内容で幅があります。
Levine JA. Non-exercise activity thermogenesis. Best Pract Res Clin Endocrinol Metab. 2002.(レビュー)
→ NEATの個人差が大きい、という部分に使いました。
Levine JA, et al. Role of nonexercise activity thermogenesis in resistance to fat gain in humans. Science. 1999.(実験研究)
→ 過食したときにNEATが増えた人ほど脂肪がつきにくかった、という部分に使いました。16人の小規模な実験なので、全員に当てはめるのは無理があります。
Pontzer H, et al. Constrained Total Energy Expenditure and Metabolic Adaptation to Physical Activity in Adult Humans. Curr Biol. 2016.(観察研究)
→ 活動量が多くても総消費がそのまま増え続けるわけではない、という部分に使いました。観察研究なので因果までは言い切れません。
National Academies of Sciences, Engineering, and Medicine. Dietary Reference Intakes for Energy. 2023.(公的資料)
FAO/WHO/UNU. Human Energy Requirements. 2001.(公的資料)
SACN. Dietary Reference Values for Energy. 2011.(公的資料)
→ TDEEの構成要素の整理全体の土台として参照しました。