PFCバランスを調べると、
「P30%・F20%・C50%」
「筋トレしているなら高たんぱく」
「脂質は少なめ」
「糖質はもっと減らした方がいい」
みたいな数字がたくさん出てきます。
すると気になるのが、
「結局、自分は何%にすればいいの?」
ですよね。
でも僕は、ここでいきなり割合を決めません。
なぜなら、
割合を入れる前に、1日何kcalを使うのかが決まっていないと、実際のg数が出ないからです。
数学でいうと、
足し算・引き算が曖昧なまま、割合の計算へ進んでいるようなものです。
いや、その何%を入れる箱がまだ決まってないんよ(笑)
この記事では、
- PFCを割合だけで決めると、なぜズレるのか
- TDEEと摂取開始カロリーは何が違うのか
- 僕が「総カロリー→P→F→C」の順で考える理由
- 1人分のPFCを、実際に最後まで計算するとどうなるのか
この順で整理します。
この記事を読み終えたら、
「割合を検索し続ける」から、
「自分のg数を出すには何を先に決めればいいか分かる」
ところまでは進めるはずです。
なお、この記事は健康な成人を想定した一般的な考え方です。
妊娠・授乳中、摂食障害の既往、腎機能障害、インスリン治療中、強い食事不安や体調不良がある場合は、この記事の計算例をそのまま使わず、治療と個別の栄養管理を優先してください。
PFCは「理想の割合を当てるゲーム」ではない
PFCは、
- P:Protein/たんぱく質
- F:Fat/脂質
- C:Carbohydrate/炭水化物
のことです。
エネルギーへ換算すると、
- たんぱく質:1g=4kcal
- 脂質:1g=9kcal
- 炭水化物:1g=4kcal
です。
この数字を使って、1日の摂取カロリーをP・F・Cへ分けます。
ここで、たんぱく質を30%にする例を見てみます。
1,500kcalの30%
1,500 × 0.30 = 450kcal
450 ÷ 4 = 112.5g
2,000kcalの30%
2,000 × 0.30 = 600kcal
600 ÷ 4 = 150g
2,500kcalの30%
2,500 × 0.30 = 750kcal
750 ÷ 4 = 187.5g
全部「P30%」です。
でも実際のたんぱく質量は、
112.5gから187.5gまで変わりました。
同じ割合でも、総カロリーが違えばg数はかなり変わります。
だから、
PFCは何%が正解?
だけでは、自分の食事を決められません。
割合が役に立たないわけではありません。
厚生労働省の「日本人の食事摂取基準」でも、健康の保持・増進を目的として、エネルギー産生栄養素の比率に目標範囲が設定されています。ただし、これは国民向けの広い基準であって、個人の減量開始カロリーやPFCを自動的に決める計算式ではありません。
割合は最後の確認には使える。
でも、最初の答えにはしない。
僕はそう考えています。
最初に決めるのは、PFCではなく「使う予算」
以前の僕は、
TDEEが食事の予算で、
そこからPFCを分ければいい
くらいに考えていました。
でも、正確には少し違います。
TDEE
1日に消費しているエネルギーの推定値
摂取開始カロリー
減量を始めるとき、実際に食べる量として仮置きする数字
です。
たとえば、
TDEEの推定が2,500kcalだったとしても、PFCを2,500kcalの中へ配るとは限りません。
減量用の摂取開始値を2,000kcalにしたなら、
PFCを配る予算は2,000kcalです。
家計でたとえるなら、
- TDEE=収入の見込み
- 摂取開始カロリー=今月実際に使う予算
- PFC=その予算の配り先
という感じです。
収入の見込みと、実際に使う予算を混ぜると、途中から計算が合わなくなります。
PFCより先に、
「自分は何kcalから始めるのか」
を仮置きする必要があります。
ただし、その数字も一度の計算で決まる絶対の正解ではありません。
最初に置いて、体重・食事・空腹・疲労などを見ながら修正するための開始値です。
低糖質と低脂質、先にどっちを選ぶ?
ダイエットの話になると、
「糖質を減らした方がいい」
「いや、脂質を減らす方がいい」
という話になりやすいです。
609人の過体重・肥満成人を、健康的な低脂質食と健康的な低糖質食へ無作為に割り付け、12か月追跡したDIETFITS試験では、平均体重変化は低脂質群−5.3kg、低糖質群−6.0kgでしたが、群間差は統計学的に明確ではありませんでした。
ただし対象は18〜50歳、糖尿病のないBMI 28〜40の成人です。全員・すべての病態に、そのまま同じ結論を広げられるわけではありません。
エビデンスの種類:無作為化比較試験/609人/12か月
ここから僕が受け取るのは、
糖質か脂質のどちらか一方が、全員に必ず勝つわけではない
ということです。
どちらを調整するにしても、
- 1日の総量
- 食品の質
- 続けやすさ
- 空腹や疲労
- 運動との相性
まで見ます。
だから最初から、
糖質は悪。
脂質は悪。
とは置きません。
僕が使う基本形は「総カロリー→P→F→C」
これは、
科学的に全員が絶対この順番でなければならない
というルールではありません。
僕が減量の食事設計で使っている、実務上の基本形です。
順番は、
- 摂取開始カロリーを仮置きする
- Pを決める
- Fを決める
- 残りをCへ回す
です。
先にPとFを確保しておくと、
炭水化物を先に入れすぎて、たんぱく質が入らない
脂質を削りすぎて、食事がずっと苦しい
最後に全部つじつまが合わない
という状態を減らしやすくなります。
Pを先に置く理由
減量すると、体脂肪だけでなく除脂肪量も落ちる可能性があります。
過体重・肥満成人の減量を対象にした47件の無作為化比較試験、計3,218人をまとめた2024年のメタ解析では、たんぱく質摂取を高めた群で、筋量低下を抑える方向が示されました。
一方で、筋力や身体機能の低下を明確に防いだとは確認されず、研究ごとのバイアスリスクにも幅があります。つまり、
たんぱく質を増やせば全部解決
ではありません。
エビデンスの種類:無作為化比較試験の系統的レビュー・メタ解析/47研究/3,218人
それでも、減量で食事量を減らすときに、
気づいたら、たんぱく質まで一緒に減っていた
を避ける意味はあります。
僕自身も昔は、
ご飯を減らす。
脂質を減らす。
肉をなんとなく増やす。
くらいでやっていました。
「高たんぱくっぽい食事」ではあったんですが、
1日何g取れているかは分かっていませんでした。
雰囲気は高たんぱく。
数字は不明。
今思うと、だいぶ怪しいです(笑)
Fは「できるだけ削る枠」ではない
脂質は1gで9kcalあります。
PやCの4kcalと比べると、少量でもカロリーが増えやすい。
だから減量中に調整しやすい場所ではあります。
ただし、
削れるだけ削る
ではありません。
脂質を極端に減らして、
鶏胸肉。
白米。
ノンオイル。
また鶏胸肉。
みたいな生活をずっと続けられる人は、かなり限られます。
僕も昔、ドレッシングの脂質1gを気にするのに、1日全体の脂質量は分かっていない時期がありました。
細かい一滴は気にする。
全体は見えていない。
完全に見る場所を間違えていました(笑)
脂質は、
0に近づけるものではなく、総カロリーの中に必要な枠を残すもの
として扱います。
Cは悪者ではなく「残りの調整枠」
PとFを決めたあと、残ったカロリーをCへ回します。
ここで、
余りものが炭水化物
という意味ではありません。
炭水化物は、
- 主食を組む
- 運動時のエネルギーを確保する
- 食事量を調整する
- 日常で続けやすくする
ために使いやすい枠です。
糖質を減らすと、序盤に体重が大きく動くことがあります。
ただし、その変化には体脂肪だけでなく、グリコーゲンやそれに伴う水分変化も含まれます。
だから、
糖質を減らしたら2日で体重が落ちた
↓
糖質は太る
と一気につなげません。
白米も食べられる。
果物も食べられる。
僕は減量中でも、枠へ収まるなら大福も食べていました。
何かを禁止するより、
1日全体でどう入れるか
を決めた方が、僕には合っていました。
1人分だけ、最後まで計算してみる
ここまで順番の話をしたので、実際に一度計算します。
この例は、
健康で、筋トレ習慣がある体重75kgの成人
を想定した説明用です。
体脂肪率がかなり高い人、腎機能に問題がある人、治療中の人へ、そのまま当てはめる数字ではありません。
条件
- TDEE推定:2,500kcal
- 摂取開始カロリー:2,000kcal
- 体重:75kg
- P:体重1kgあたり1.6gを仮置き
- F:50gを仮置き
- C:残り
運動する健康な成人について、ISSNのポジションスタンドでは、1日1.4〜2.0g/kgのたんぱく質が多くの運動者にとって十分な範囲とされています。
ただし、これは健康な運動者向けのポジションスタンドであり、全員共通の処方ではありません。今回は計算を見せるため、範囲内の1.6g/kgを使います。
エビデンスの種類:専門学会のポジションスタンド/文献レビュー
① Pを出す
75kg × 1.6g
= 120g
たんぱく質は1g=4kcalなので、
120g × 4
= 480kcal
② Fを出す
脂質を50gと仮置きします。
50g × 9
= 450kcal
③ 残りをCへ回す
摂取開始カロリーは2,000kcalです。
そこからPとFを引きます。
2,000 − 480 − 450
= 1,070kcal
炭水化物は1g=4kcalなので、
1,070 ÷ 4
= 267.5g
四捨五入して、
約268g
です。
この例のPFC
- P:120g
- F:50g
- C:約268g
割合に直すと、
- P:約24%
- F:約22.5%
- C:約53.5%
です。
ここで見てほしいのは、
最初に24:22.5:53.5という理想比率を選んだわけではない
ということです。
先に、
摂取開始カロリー。
P。
F。
を決めた結果、最後にこの割合になりました。
割合は答えというより、
計算後の確認結果
に近いです。
この例を、そのまま自分へ使わないでください
ここはかなり大事です。
同じ75kgでも、
- 体脂肪率
- 筋トレの有無
- 年齢
- 活動量
- 減量幅
- 食事の続けやすさ
- 病気や服薬
で設定は変わります。
この記事の目的は、
75kgならP120g・F50g・C268gが正解
と渡すことではありません。
こういう順番で、自分の数字を出すのか
を一度体験してもらうことです。
PFCが合っていても、食事全体が整うとは限らない
PFCが一致していても、
野菜や果物がほとんどない。
食物繊維が少ない。
同じ食品ばかり。
外食や間食が記録から抜けている。
なら、食事設計としては別の問題が残ります。
PFCは大事です。
でも、
PFCだけで食事の質や続けやすさまで全部決まるわけではありません。
厚生労働省の食事摂取基準も、エネルギー産生栄養素の比率だけでなく、各栄養素を含めて健康の保持・増進を考える基準として作られています。
ただ、最初から全部を同時に完璧にしようとすると止まります。
まずは、
1日の予算を作る。
P・F・Cをgへ変える。
ここからで十分です。
まとめ
PFCは、
理想の割合を当てるゲームではありません。
僕が減量設計で使っている基本の順番は、
- TDEEを参考に、摂取開始カロリーを仮置きする
- Pをgで決める
- Fをgで決める
- 残りのカロリーをCへ回す
- 最後に割合を確認する
です。
同じP30%でも、1日の摂取カロリーが違えば、実際のg数は大きく変わります。
だから、
PFCは何%?
の前に、
自分は何kcalを使う予定なのか?
を確認する。
そこからP・F・Cをgへ変える。
この順番が見えれば、
「糖質を減らす?」
「脂質を減らす?」
「たんぱく質を増やす?」
という情報を見たときも、
今の自分は、そもそも何gなんだ?
へ戻れるようになります。
ここまで分かれば、無料記事の役割としては十分です。
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この記事では、1人分の計算例を使って、PFCを決める順番まで整理しました。
ただ実際に自分で始めようとすると、
- 開始カロリーを何kcalにするか
- 自分のPを何gにするか
- Fをどこまで残すか
- Cを何g使えるか
- 筋トレしている場合はどう変えるか
- 2週間後、体重が動かなかったらどこを直すか
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最後に
僕も昔は、
脂質を減らす。
ご飯を少なくする。
鶏胸肉を食べる。
くらいで、
ダイエットっぽいことはしていました。
でも、
1日何kcalなのか。
Pは何gなのか。
Fは何gなのか。
Cは何g食べられるのか。
ここは分かっていませんでした。
数字を置いてみると、
思っていたより白米を食べられた。
たんぱく質は思っていたより足りなかった。
脂質は調理油や調味料から意外と入っていた。
それまでの「なんとなく」が、かなり見えるようになりました。
この記事が、
「PFCって結局どう決めるの?」
を一段整理する材料になればうれしいです。
この考え方が合いそうなら、フォローしておいてください。
分かりやすかった、計算の順番が見えたと思ったら、スキも押してもらえると、次に何を深掘りするかの参考になります。
参考文献・参考資料
厚生労働省.日本人の食事摂取基準(2025年版).
公的な栄養基準。健康の保持・増進を目的として、エネルギーや各栄養素の摂取基準、エネルギー産生栄養素バランスを示したもの。
Gardner CD, et al. Effect of Low-Fat vs Low-Carbohydrate Diet on 12-Month Weight Loss in Overweight Adults and the Association With Genotype Pattern or Insulin Secretion: The DIETFITS Randomized Clinical Trial. JAMA. 2018;319(7):667-679.
無作為化比較試験。609人の過体重・肥満成人を12か月追跡し、健康的な低脂質食と低糖質食を比較。
Kokura Y, et al. Enhanced protein intake on maintaining muscle mass, strength, and physical function in adults with overweight/obesity: A systematic review and meta-analysis. Clin Nutr ESPEN. 2024;63:417-426.
47件の無作為化比較試験、計3,218人をまとめた系統的レビュー・メタ解析。減量中の筋量保持とたんぱく質摂取を検討。
Jäger R, et al. International Society of Sports Nutrition Position Stand: protein and exercise. J Int Soc Sports Nutr. 2017;14:20.
健康な運動者を対象とした、たんぱく質と運動に関する専門学会のポジションスタンド。